遺産分割方法について

2014-03-09

遺産分割方法について教えて下さい。

 

Q 夫が亡くなりました。遺産として、自宅土地建物、預金があります。私は後妻で、夫には前妻との間に子供が2人います。どのように遺産分割をすれば良いですか。

A まずは、相続人間での話し合い(遺産分割協議)をします。協議が調わなければ、家庭裁判所に遺産分割調停(審判)を申し立てます。

1, 遺産分割をどのように進めるか

遺産分割を進める方法としては、共同相続人の協議による分割、家庭裁判所において調停を成立させたことによる調停分割、家庭裁判所による審判分割があります。

遺産分割の前提問題等の解決のため、訴訟が係属しこれについて和解をする時に、和解調停書内で、遺産分割についても合意することもあります。

2, 遺産分割の基準はどのようなものか

遺産分割は、被相続人が遺言で禁止した場合を除き、いつでも共同相続人の協議で行えます。

協議の中では、法定相続分にとらわれず、自由に取り決めることも可能です。

共同相続人全員が合意すれば、すべてを1人の相続人が相続し、残りの相続人は何も相続しない、という取り決めをすることも可能です。

しかし、共同相続人の協議が調わない時は、家庭裁判所に遺産分割の調停、審判を申し立てることになります。

遺産は、個性のあるものの集まりであり、どの遺産を誰に継がせるべきか、家庭裁判所は調停、審判にあたり、民法906条に掲げられた「遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活及び生活の状況その他一切の事情」を考慮して調停を進め、最終的には審判をします。

遺産の一部についてのみ、分割調停や分割審判をすることもできます。

本問でも、妻が自宅を取得することを望むのか否か、子どもたちに取得の希望があるのかなどについて、それぞれの意向、立場を聴き取って、法定相続分による中でも、なるべくお互いの意思を生かすようにするのです。

3, 遺産分割の方法としてどのようなものがあるか

具体的な分割方法には、現物分割、代償分割、換価分割、共有分割の4種類があります。どの分野方法を選ぶかについても、民法906条の基準で家庭裁判所が決定することになります。原則は現物分割ですが、これが出来ないとうな時には、代償分割、換価分割、共有分割の順で検討されます。

4, 本問題への回答

本問では、分割協議が調わない時には、家庭裁判所に調停、若しくは審判の申立てをし申立人と相手方のそれぞれから、どのような遺産分割を望むのかを聴き取り、話し合いでの解決を試みます。

申立人は、自分たち以外の共同相続人すべてを相手方としなければなりませんが、相手方全員が分割について合意しているとは限りません。その場合は、相手方もグループ分けをして、個別に意思を聴き取ることになります。

調停では、全員の合意が第一ですから、法定相続分にとらわれず、分割内容、方法について協議をします。

本問題では、妻が自宅土地建物を取得し、預金を子どもに2人で分ける(現物分割)という内容で調停を成立させることもできます。

子どもが「預金だけでは、自分たちの法定相続分に及ばないので、配慮してほしい。」となれば、妻が自分の財産からいくらかの代償金を拠出し子どもに渡す(代償分割)方法によることも現実的な解決案です。

全員が自宅土地建物の取得にこだわらず現金が欲しい、ということで合意した場合には、自宅土地建物を売却して売却代金と預金を合わせて分割する(換価分割)という方法がとることもできます。

いずれの方法でも合意に至ることができなければ家庭裁判所の審判によることになりますが、その時は前述のことが考慮されることになります。審判の内容が上記事情を考慮していないとして不服であれば、民法906条違反ということで、即時抗告することができます。

 

ページの上部へ戻る

Copyright(c) 2014 石田法律事務所 All Rights Reserved.